第七話 めぐる季節と妹と私
「申し訳ありません、真白さま。旅子さまは、まだ幼く……」 恭しく、但馬が謝った。 「子どもらしくて好ましいですよ。小さいころは私も、庭の木に登ってよく叱られました。それより、旅子のまわりは人が少ないのね」 「ええ、そうなんです……旅子さまは、母・寛子さまの厄年に生まれたこともあり、縁起が悪いと言う女房がいまして。父君はかわいがってくださいますが、忙しいことも多く、また兄君たちも旅子さまのお世話まではなかなか……でも、声はかけてくださいますし、決して疎遠ではありません」 母を失った旅子はさみしい思いをしたはずだ。真白自身も、斎王に卜定されて潔斎に入るときはつらかった。 「教えてくれてありがとう、但馬。これまで、旅子を支えてくれたことに、礼を言わせてください」 「ご帰京を待ち望んでいました。寛子さまも、どんなにか……真白さまは、おうつくしい姫君になられました」 深々と頭を下げる但馬の手を取った。 この、但馬という女房はもともと母付きだったが、旅子のお世話をする者が少ないので願い出たという。照葉の朋輩でもあり、真白も顔だけは知っていた。仕事ができて、髪がうつくしい人だ。 「私がこのお邸にいなかった十年のこと、いろいろ教えてくださいね」 「もちろんでございます」 もう、旅子をひとりにしない。守りたい。これからは、旅子と同じ部屋で起居することにした。 真白のきょうだいたちも帰京を喜んでくれた。 兄・邦正。弟に、行正と信正。みな、母・寛子から生まれた。親王の子息という立場にいるので、みなおっとりしていてやさしく、出世競争とは縁がない。 この家を見守り、父を支えつつ、暮らそう。春夏秋冬、包み込むように。
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