第七話 めぐる季節と妹と私
「旅子さま、こちらが姉君ですよ」 幼いながら、旅子は母に似ていた。顔のかたち、雰囲気、母を思い出させる。 旅子はちょうど、真白が琴をはじめたころの年齢でもある。 向かい合って座る。旅子は照葉の同僚女房である但馬(たじま)にしがみついていたが、そろそろと手を伸ばしてきた。 小さな手。細い指。 そっと手を重ね合わせて握ると、かすかに返してくれた。あたたかい。 「はじめまして、よろしくね。姉の真白といいます。伊勢、というところから帰ってきました」 斎王として伊勢にいたことを話して聞かせる。旅子は短い髪を揺らしながら、うんうんと何度も頷いた。 「ましろ姉さまは、いせでおひとりだったのね」 「乳母たちはいましたが」 「お母さまはいなくなったけれど、旅子にはね、お父さまやお兄さまがいたのよ。お姉さま、これからは旅子がいつもいっしょです。もう、さみしくないですからね」 やさしく、頭を撫でてくれる。自分がそうするべき立場なのに。 「お姉さまは、なにがおすき? 旅子はお人形あそびがすきよ」 「私は歌や琴が好きです」 「きょうは、お人形であそびましょう。旅子の、お気に入りの人形を持ってきます」 笑みを見せた旅子は走って出て行った。
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