月刊傍流堂

  1. HOME
  2. ブログ
  3. 月刊傍流堂
  4. 第四話 逆さまの都

第四話 逆さまの都

「七年なんて、まだまだなのね」

 都を離れ、毎日ひとりで祈ってきたのに。深いため息をつく真白の背中を、照葉が撫でる。

「おつとめの期間の平均は、十年ほどだと聞きましたよ」

「でも、今の帝はお若いもの」

 帝は真白と六歳差だった。

「病がちで、臥せっておられる日も多いと耳にします。ですが、東宮さまは健やかで闊達な御方らしいですね」

「いけません。帝の御譲位を願うなんて」

 そう言いながら、一心不乱に記録をめくる。

 過去の斎王は七年より短いのか長いのか、探ってしまう。無駄なことをしていると感じるものの、止まらない。

 そして、選ばれていたのは内親王がほとんど。真白のような皇孫(女王)は少ない。本来、斎王は帝の内親王が務めるもの。

 ……やっぱり、私は闕けた斎王なの?

 ここ、斎宮に閉じ込められて帝の代わりに祭祀を行い、待つ。

 都の方角を向くことすら、禁じられているのに。

 やはり、早く帰りたい。一日でも早く――

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

関連記事