月刊傍流堂

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第3話 つきよよし

 「順おじさまに、お文(ふみ)をお返ししましょう」

 翌日、真白は張り切って筆を手にした。

「それと、『竹とり』の物語を、私たちだけが楽しむなんてもったいない。斎宮寮で働いている人々にも読ませるように」

「よろしいのですか。物語は一部しかございませんのに」

「照葉、あなたが書き写すの。最初は、そうね……五部ほどあればよいのでは。そのあとは放っておいても増えるでしょう」

 いきなりの大役を任された照葉が、背筋を伸ばした。

「かしこまりました」

「それから、物語を読んだ人に聞いてほしいの。『どういう物語があったら読んでみたいか』って。順おじさまなら、読んだ者の感想から新しいお話を思いつくはず。私も考える」

「それはよろしいかと。斎宮の暮らしは穏やかですが、少々単調ですものね。真白さま、すでに考えている物語などありますか。かぐや姫もいいですが、竹から生まれたという点がなんとも奇妙で、少し卑しく感じます。貴公子の求婚にも冷たいですし」

 語気を強めながら、真白に詰め寄る照葉を見ていると、すっかり『竹とり』の虜になっているのが分かる。

「まだ、ないわ。でも、琴をめぐるお話……なんて、どうかしら」

「琴! 真白さまらしいですね。琴のお話でしたら、伝授が話の核でしょうか。真白さまもいずれ、京に戻られたら重明さまから琴の秘伝を授かるのですよね」

「……京。そうですね、いつか」

 ふと、真白は目を細めた。帰京するとき、それはいつになるのだろう。不安を押し隠すようにして、ほほ笑んだ。

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