月刊傍流堂

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第2話 櫛の別れ

 卜定から二年後の九月十五日。晴天。

 潔斎を終えた新斎王・徽子女王……真白は、伊勢へ群行する日を迎えた。

 乳姉妹の照葉も、伊勢行きの列の中にいる。白い装束が肌にひやりと触れ、身が引き締まった。

 伊勢に向かう日に合わせ、照葉は女童(めのわらわ)から女房に改めた[※女童は貴人に仕え雑務をする少女。女房はその上位の侍女]。長く垂らした髪が重い。歩いていると裾を踏んでつまずきそうになってしまう。

 そっと、列の中心にいる真白に視線を送る。

 今朝も真白は、白一色で整えられた装束に黙って袖を通した。髪を梳かれても、肌の手入れをされても、されるがまま。

 背筋を伸ばし、顎を引いて静かに座っている。その姿が目に映るたびに胸が痛む。

 辛かったら分けてほしいのに。苦しみを一緒に背負いたいのに――照葉は手を伸ばしかけて、止める。

  ◇ ◇ ◇

 時おり強い風が吹き、御輿に乗る真白の頬を打つ。

 野宮を出た新斎王の列は桂川で禊を終えたあと、宮中へ向かった。

 都大路には、行列を見物しようと人や牛車が多く並び、どこまでも連なっていた。どの顔も、こちらを見つめてくる。遠慮なく、指を差してくる子どももいる。

 もしかしたら、この中に父や母が――視線を動かすだけでは物足りなくて、真白は思わず身を乗り出しそうになった。

 しかし、輿の脇を歩く随身が咳払いをして警告を発してきた。そうだ、自分は斎王だった。すぐに座り直す。

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